中学3年 コミュニケーション授業⑤

2017.03.29

  • 2014年度入学
  • 体験学習

修学旅行の振り返りとして実施した中学3年生の「コミュニケーション授業」。今日は多田淳之介さんを講師にお迎えしたクラスの様子をご紹介します。

「東京デスロック」を主宰する多田さんは、2010年より富士見市民文化会館「キラリふじみ」の芸術監督を務められ、2013年には韓国東亜日報が主催する東亜演劇賞演出賞を外国人として初めて受賞するなど、国内外を問わず演劇界の第一線でご活躍されています。

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第1回目の授業では、演劇とコミュニケーションについて考える活動を行いました。

まずはじめに、縄を使わないで大縄跳びをします。教室のそれぞれの端に立った人が、そこにはない縄を回すふりをします。その見えない縄を生徒たちは次々に飛んでいきます。回す人の手の動きに合わせて何人かがジャンプしていくと、ないはずの縄が見えてきます。縄のイメージが共有されることで、生徒たちは、縄にあたらないように頭を下げて飛んだり、縄に引っかからないように大きくジャンプしたり、縄から抜ける時は早足になったりと、実際に大縄跳びをしている時のようなふるまいを始めます。

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多田さんは、回っている縄の前でジャンプしなかったり、縄を避けることをしない人がいたら、すぐに縄は見えなくなってしまうということを、実際にやってみせながら説明しました。縄を回す人と縄を飛ぶ人とがイメージを共有することで、初めて大縄がまわりの人に見えてくるのです。

次に、円になって、言葉を発することなく順番に立ったり座ったりする活動。他の人と同時に動いてしまったら、はじめからやり直しになります。

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他の人と重なることなく順番に立ったり座ったりするためには、相手の思いを汲み取ったり、推し量ったりしなくてはなりません。

演劇には言葉を介さないコミュニケーションも必要であると多田さんは言います。「何をやっているのか」や「そこはどういう場所なのか」といったイメージを班の中で共有し、それを台詞だけでなく体の動きなども使って表現しないと、観客には何をやっているのか伝わらないということなのでしょう。演劇が持つこのようなコミュニケーションの力は、日常生活においても有効なものだと感じました。

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第2回目の授業から発表会で発表する作品を創りはじめました。

このクラスには、修学旅行中に班員全員で、何かの場面を演じているような写真を1枚撮ってくることが課題として出ていました。授業では、その写真をもとに想像力を働かせ、写真の1分前から1分後までの物語を演劇作品にしていきました。

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第3回目の授業では、引き続き作品創りを進めていきます。クラスの中でお互い作品を鑑賞しあったり、多田さんやアシスタントの方にアドバイスをもらったりしながら、作品を完成させていきました。

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発表会では修学旅行先で写真を撮った時に着ていたのと同じ服に着替えて作品を上演しました。

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発表会の中で多田さんは次のように語っていました。「これからは、自分一人ではなくて、他の人と協力して何かをするような機会がどんどん増えてきます。人の意見を聞きながら、自分の意見をいかすためにどうすれば良いのか。今回は演劇を通してそんなことも体験してもらいました」

多田さんが言うように、彼らは修学旅行の思い出をもとに作品を創って発表する過程で、価値観の異なる他者とイメージを共有することや、自分の意見と他者の意見をすり合わせることで、より良い解決方法にたどりつくこと術などを、体験的に学ぶことができたのではないかと個人的には考えています。

最後になりましたが、多田淳之介さんとアシスタントのみなさんに厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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